ナルキッソス〜もしも明日があるなら〜 Portable レビュー

プレイステーション・ポータブル(PSP) ナルキッソス〜もしも明日があるなら〜 Portableレビュー・感想のページです。
ナルキッソス ~もしも明日があるなら~ Portable(通常版)
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発売日:2010年6月24日
対象年齢:B(12才以上対象)
コンテンツアイコン:恋愛、暴力、犯罪、言葉・その他
評価:☆☆☆
レビュー掲載日:2016年5月21日

ナルキッソス1、ナルキッソス SIDE 2nd、ナルキッソス 3rd -Die Dritte Welt-の3作品のリメイク、
サブキャラクターの日常を描いたエピローグや、1と2のオリジナル版をそのまま収録したクラシックモード、
そして、新たなシナリオの最終章を収録した作品です。

音楽は当然ながら良いです。

セーブ、ロード時間は早い。

難易度は基本的にこのシリーズは選択肢がないので最後まで読めばエンディングまでたどり着けます。
唯一、外伝の死神の花嫁だけは選択肢がありますが、殆どは会話が変わる程度です。

難点はイラストをオリジナル版と違う人が描いていますが、かなり違和感を感じる絵になっています。
下手したらこれだけで本作を手に取る人が少なくなってしまうレベル。
実際にプレイ中も違和感を感じるので本作最大の欠点と言わざるを得ません。

次に各ストーリーの詳細です。

【第1章 〜銀のクーペ〜】
ナルキッソス1のリメイク。
所々にオリジナル版にはなかった追加シーンがありますが、
そのせいでシナリオが進むのが遅くなり、テンポが悪くなっています。
無理に本編に追加せずにおまけのエピローグにした方が良かったのでは。
シナリオ自体は同じなので良いですが、やはりオリジナル版の方が良かったです。

【第2章 〜赤いロードスター〜〜】
ナルキッソス SIDE 2ndのリメイク。
シナリオの変更はほぼないと思われます。

【最終章 〜DOEGHNUT〜】
本作に新たに収録されたシナリオ。通称「ナルキッソス 0-ZERO-」
ナルキッソス SIDE 2ndから20数年前の1970年代が舞台。

主人公の蒔絵博史は実家の老人ホームを手伝いながら中学校に通う日々を送っていたが、
学校より実家の手伝いを優先していたため、一年留年してしまう。
ある日、博史は病気で一年留年した日下陽子と仲良くなる。
そして陽子も老人ホームの手伝いに来るようになり、博史と二人で老人ホームの様々な提案やルールを作っていった。
そんな日々がずっと続くかと思っていた二人だったが・・・
シリーズの舞台である7階、そして7階のルールが生まれたきっかけを作ったある二人の約10数年間の日常を描いた物語。
内容は良いのですが、老人ホームを家族4人だけでやっているというのは相当無理があると思います・・・

【外伝 〜Die Dritte Welt〜】
ナルキッソス 3rd -Die Dritte Welt-のリメイク。
外伝と言う事もあり、他の作品のシナリオとはそれほど話は繋がっていません。
小さなイリス以外の3つのシナリオは本編とは別のシナリオライターさんが描いています。
以下、外伝の4作品の紹介です。

死神の花嫁
過去の出来事が原因でメスを握れなくなってしまった医者の高原英治と元看護士の安佐乃海璃は付き合い始めて3ヶ月、
新しい新居を見つけて新たな生活が始まろうとした矢先、海璃は突然倒れてしまう。
海璃の入院生活は長く続き、やがて英治は重大な選択を迫られる事になる。

内容は悪くはないのですが、主人公の性格が情けないので所々でもやもやする場面があります。
終盤の一人旅の結末は当人達でしかわからない事なのでしょう。
でも、あの行動を取ったのはなんとなくわかる気はします。なんとなくですが。

本作のシナリオの中で唯一選択肢があり、場合によってはエンディングに到達できないので注意。
しかし、このシリーズに選択肢の必要性があったのだろうか。

- Ci - シーラスの高さへ
ある日、街で道に迷っていたデザイナーの浦山和昭は妙なノリで老人に道を教えている楠木ちさとと出会う。
ちさとが自分の探し求めていた人物だと感じた和昭はちさとに声をかける。
この出会いがきっかけで偽りの自分を演じている女の子と不思議なお兄さんの二人はある計画を実行する決意をする。

まず、序盤のギャグなのかよくわからない会話が長時間続くので、かなりだるいです。
それさえ終われば真面目な展開になりますが、ギャグなのかわからない会話がなくなるわけではありません。
ギャグ?の部分は完全にいまいちでしたが、真面目な展開の部分は良かったです。

メサイア
新米医師の鈴木拓人は新たに非常勤で通う事になった病院で7階の入院患者、相島久也と出会う。
そして二人は医師と入院患者という関係ではなく、友人として付き合っていく事になる。
が、そのせいで拓人は問題児である久也に散々振り回されていく事になる。

ナルキシリーズどころかアドベンチャーゲームでも珍しい、男同士の友情を描いたシナリオ。
内容は・・・まあ普通です。

小さなイリス
外伝のメインシナリオといえる作品でしょうか。
舞台は現代ではなく中世であり、他のシナリオとは雰囲気が大幅に違います。

中世の小国アリーナの第二皇女イリスは幼い頃から小さな部屋で、
幽閉同然の暮らしをしてきており、心を閉ざしてしまっていた。
そして8歳の時に隣国に嫁ぐ事になったが、やがてイリスの嫁いだ国とイリスの母国は戦争を始め、
イリスは王女の称号を剥奪され、牢屋へ幽閉されてしまう。
同時に自分の命を狙う暗殺者が現れ始め、イリスは生きるために暗殺者を殺す様になる。
イリスの監守役である兵士に戦い方の手ほどきを教わりながら暗殺者を殺す日々を続け、
やがて8年もの日々が過ぎ、ついに戦争は終わったが、
用済みとなったイリスを処刑するため、牢屋の外にはイリスの命を狙う暗殺者達がいた。
その中の一人であるヨハンだけはイリスを殺した後に自分達も口封じのために殺されるだろうと察し、
その場にいた全ての暗殺者とイリスの監守である兵士を殺害し、そのまま立ち去ろうとするが、
ヨハンの後をイリスがついてきてしまい、二人はこの国を出るために行動を共にする事になる。

ナルキッソスシリーズ本編が病気による死生観を描いた作品なら、
本作は戦乱の世界の死生観を描いた作品という所でしょうか。
内容は良いとは思いますが、最後がちょっとあっさりしすぎな気がします。

相変わらず「死生観」を描いたシナリオは良いのですが、イラストの癖の強さが最大の問題。
とは言え、ナルキッソス1〜3とその他のシナリオを本作一本でほぼプレイできるは良いのではないでしょうか。
ナルキ1と2は無料なので実質、ナルキ3と最終章と数本のエピローグのために買うようなものですが。

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